日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
グレインソルガムの生産性に関する研究 : 第3報 グレインソルガムの茎葉や穀実の収量に及ぼす萎凋処理とNAA,IAAおよびトリプトファン葉面散布処理の比較
ミハルディ M. J.小林 喜男
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 49 巻 3 号 p. 445-455

詳細
抄録
グレインソルガムH-726について,短期間の水分不足をうけた植物の生育収量が優れ,蛋白含量も多くなるのは植物体内のオーキシン含量が増加したためではないか,また生育期間に何回も土壌乾燥が繰返された場合の影響はどうか,について明らかにするため,1978年と1979年に名大農学部附属農場で実験を行った. 結果は次のとおりである. 1. 生育の初期における1回の短期間の土壌乾燥や茎の伸長期における1回の一時萎凋で,生育収量が無処理区より優れ蛋白含量も多かったが,このような植物の水分不足を生育期間中に何回か繰返すと,反対の結果が得られ生育収量が減じた. 2. 生長ホルモンの葉面散布で根は,原基のままとどまるものも伸艮するものも無処理区より数が増加した. これに反し植物にX線を照射してオーキシンの一部を分解した場合には根数が減少した. 3. 生育初期における1回の短期間の土壌乾燥と茎の伸長期の一時萎凋がオーキシンの葉面散布とほぼ同様の影響を与えたので,短期間の土壌乾燥で植物体のオーキシンレベルが高まり,植物の生育を促がしたのも原因のひとつと思われる. 4. 本実験では植物体で生成されるオーキシンであるIAAと合成されたNAAとは同じ反応を示した. 5. 前報で水耕液の窒素濃度が低い17.5PPmより高い44PPmの場合に最高の穀実収量が得られた. それゆえ,穀実収量が増大するのはただ単にホルモンレベルがあがっただけではなく,土壌水の窒素濃度が乾燥期間に高まることも原因していると考えられる.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top