日本作物学会紀事
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イネの一代雑種の物質生産に関する研究 : I. 個葉の光合成速度におけるヘテロシス
村山 盛一宮里 清松野瀬 昭博
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1987 年 56 巻 2 号 p. 198-203

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抄録
イネの一代雑種が収量で顕著なヘテロシスを示すことはすでに明らかにされているが, 作物の物質生産の立場からヘテロシスについて研究した例は少ない. 本研究では, 物質生産要素におけるヘテロシスについて検討するために, 個葉の光合成速度, 窒素含量, 比葉面積(SLA), 株当り葉面積および1株穂重の測定を実施した. 結果は次の通りである. 1. 個葉の光合成速度において顕著なヘテロシスを示す組合せがみられ, 最も優れたF1は中間親, 高い方の親をそれぞれ57%, 51%も凌駕し, いずれも統計的に有意であった(第1表, 第2表). 2. 光合成速度におけるヘテロシスは弱光域よりも強光域において高かった(第1図). 3. 葉身の窒素含量でもかなりのヘテロシスがみられた(第1表). 4. 光合成速度と窒素含量の間には正の相関がみられ, 親品種では有意であった(第2図). 5. 光合成速度とSLAの間では一代雑種, 親品種とも負の有意な相関を示した(第2図). 6. 窒素含量とSLAの間でも親品種では負の有意な相関を示した(第2図).
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