日本作物学会紀事
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アズキにおける品質関連形質の変異とその成因 : 第2報 北海道産にみられる種皮色の変異
由田 宏一佐藤 久泰上嶋 尚石井 伸朗佐藤 導謙
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1991 年 60 巻 2 号 p. 234-240

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抄録
北海道各地より生産者単位で収集したアズキ(1987年産369点および1988年産203点)につき,色彩計を用いて種皮色を測定し,品種間差異,地域間差異を明らかにするとともに,収穫時期等との関係について検討した. 種皮色の測定値(Lab表色系)は,種子を布で拭いてから臍が視野に入らないように向きを調節してペトリ皿に緊密に入れ,測光部(直径8mm)を密着させて移動しながら20回測定し,これを平均して求めた. 供試した7品種において,黄味の程度(b)は34%,明度(L)は14%,赤味の程度(a)は8%の変異幅がみられ,音更小豆,エリモショウズおよび宝小豆ではbとLが高い値を示した.品種エリモショウズの種皮色は,年次によっても変動するが,色の各指標とも収穫時期の早晩および粒大と有意な正の相関関係が認められ,とくに収穫時期が遅く粒の大きい十勝産は,早く粒の小さい他の地域産のものに比べてLとbの値が高かった. 一方,収穫後の乾燥調整期間の長さは種皮色に直接関係しなかった. L,a,bの値は品種間,品種内ともに互いに正の相関をもって変動した. 品種間,地域間および生産者間における変異の実態は, アズキの種皮色が育種・栽培両面からかなり改良される余地のあることを示唆している.
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