ダイズ複葉の運動が個体群内の微細環境に及ぼす影響を明らかにするため, イネ個体群を対照として, 両個体群内の風速, ろ紙蒸発速度, ろ紙境界層抵抗, 空気の露点温度, CO2濃度および光強度の垂直分布を比較した. ダイズ個体群はイネ個体群に比べて上層の葉面積密度が高いため, 風速, ろ紙蒸発速度, CO2濃度が低く, 露点温度は高かった. また, ろ紙蒸発速度から算出した境界層抵抗は個体群・下層ほど大きく, 各高さともに露場風速の増大に従い小さくなったが, イネに比ベダイズ個体群で大きかった. ダイズ個体群内の相対風速は午前中に顕著に高まったことから, 個体群内への風の透過には上層における小葉の傾斜角度が関与すると推察された. イネとダイズ個体群内の各高さにおける相対光強度には日変化が認められ, 朝夕小さく, 日中大きくなった. 相対光強度の日変化から求めた個体群全層の吸光係数は朝夕大きく, 日中小さくなったが, 1日を通じてイネに比ベダイズ個体群で大きかった. ダイズ個体群上層について求めた吸光係数は日中顕著に小さくなり, これには複葉を単位とした小葉の運動現象が関与することが認められた. 以上の結果, ダイズ個体群上層における複葉の運動は, 個体群のガス交換を活発化し, 太陽高度の高くなる日中には個体群内への光の透入をよくすることが明らかとなった.