雨害等によりアミロ値が低下した, いわゆる低アミロ小麦を判別するために, α-アミラーゼ活性測定による簡易迅速な検定法を開発した. α-アミラーゼ活性測定の基質にはオリゴ糖誘導体を用い, 自動分析にはブラン・ルーべ社製のオートアナライザー(AAII型)の一部を改良して用いた. オートアナライザーを用いることにより, 1時間に50点の迅速測定が可能となり, しかも試薬コストの低減が図られた. また, 手分析とオートアナライザーによる測定値の間に大きな差は認められなかった. α-アミラーゼ活性とアミロ値との関係を検討した結果, 小麦粉の場合の相関係数は r=-0.922 ともっとも高く, 全粒粉が r=-0.906 であった. 一方, 乾燥前の生麦を供試した場合, 成熟期以前の高水分の試料についてはアミロ値との相関が判然としなかったが, 成熟期以降の試料についてはr=-0.884 の比較的高い相関が得られた. 受け入れ施設等におけるアミロ値の仕分けを目的に, 次のような生麦の仕分け指標値の設定を試みた. グループ1:活性300mU/g未満の小麦の平均粘度は755B.U. と高く, ほとんどが健全麦であった. グループ2:活性300mU/g以上500mU/g未満の小麦の平均粘度は502B.U. で, 低アミロ小麦から健全麦まで広く分布していた.グループ3:活性500mU/g以上の小麦の平均粘度は109B.U. で, ほとんどすべてが低アミロ小麦であった. また, オートアナライザーによるα-アミラーゼ活性測定は育種における選抜法にも有効と考えられる.