群落水耕条件下でハイブリッドライス汕優63号を供試し, 生育前期 (葉齢14.5まで), 中期(葉齢13.5~17.0 (止葉完全展開), 後期 (葉齢17.0~成熟期) に窒素施用濃度の異なる処理区を設けて, 分化冠根原基数と出現冠根数, 株当たりの根重ならびに地上部の窒素, 全糖およびデンプン含有率を測定し, 水稲における窒素施用時期と施用濃度が根の生育に及ぼす影響と株当たりの地上部成分との関係について検討した. 生育前期には, 窒素施用濃度が高いほど株当たり根重は増加した. また, 株当たり根重は冠根1本当たり平均根重よりも根数に支配された. 一方, 生育中期には, 窒素施用濃度が高いほど株当たり根重は低下したが, とくに上位根 (最上位の3節に出現する根) 重の低下程度が大きかった. 生育後期の根の生育は生育中期の窒素施用濃度の影響を大きく受け, 根重に及ぼす施用窒素濃度の影響は小さかった. 生育期間をとおしてみると, 株当たり根重の増加量は生育中期で最も多く, ついで生育前期で, 生育後期はきわめて少なかった. 分化冠根原基数は冠根原基分化時の地上部の窒素含有率と高い有意な正の, 冠根出現率は冠根出現時のデンプン含有率と高い有意な正の相関関係を示し, 冠根原基の分化には窒素が, 冠根の出現にはデンプンが支配要因の1つと考えられた.