日本作物学会紀事
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アズキ(Vigna angularis)品種丹波大納言の上胚軸切片およびカルスからの植物体再分化
高橋 亘松下 准城小林 孝子田中 修別府 敏夫
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67 巻 (1998) 4 号 p. 561-567

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抄録

アズキ(品種丹波大納言)上胚軸切片に, Agrobacterium rhizogenesを感染させると, 植物ホルモン無添加の培地で, 不定芽と毛状根が形成された.形成した毛状根では, ミキモピンとrol遺伝子が検出されたが, 不定芽を育てて得た植物体では, ミキモピンもrol遺伝子も検出されなかった.それ故, アズキ上胚軸切片が植物ホルモン無添加の培地で不定芽を分化する能力を持つことになる.そこで, その可能性を検討すると, 上胚軸切片は, 植物ホルモンをまったく含まない培地上で不定芽を分化し, シュートとして発育させる能力を持っていた.この不定芽の分化は, 2μgL-1ペンジルアデニンと0.02μgL-1ナフタレン酢酸という低濃度の植物ホルモンにより, 促進された.上胚軸切片から分化した不定芽は, 茎が伸長しシュートとして成長した.また, 植物ホルモンを含む培地上で誘導されたカルスは, 植物ホルモンをまったく含まない培地に移されることが刺激となって, 多数の小葉を分化しながら増殖するカルスを形成した.特に, このカルスの形成率は, 不定芽を分化したカルスにおいて高かった.このカルスからのシュート形成は, ゲランガムを含む培地に, ナフタレン酢酸を添加すると促進された.このシュートや上胚軸切片から形成されたシュートは植物ホルモンを含まない培地に移植すると, 根を分化し, 試験管内で, 幼植物体として成長を続けた.本論文で得られた知見は, 今後, バイオテクノロジー的な手法を用いて, この品種の改良を進める上で, 有用である.

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