世界各地のコムギ約1,300品種について発芽時と幼植物における耐塩性の品種変異とその地理的分布を調査した. コムギの耐塩性には明瞭な品種変異が存在し, いくつかの高度耐塩性品種が見出された. 地域別に比較すると, 朝鮮半島の品種は発芽時と幼植物のいずれのステージにおいても耐塩性の強い品種の割合が高かった. Dゲノムを持たないT. durum (AABB)をはじめとするコムギ属7種の発芽時と幼植物における耐塩性は普通系コムギのT. aestivum (AABBDD)よりも弱く, 耐塩性に関連する遺伝子の一部がDゲノムに含まれている可能性が示唆された. コムギの発芽時の耐塩性と幼植物の耐塩性はオオムギと同様に無相関であり, 両者は異なるメカニズムによるものと見られた.