食用カンナ(Canna edulis Ker-Gawl.)における根の発育, 特に不定根の発生様式に注目して外部形態および内部形態面からの観察を行い検討を加えた. 根系は, 太い不定根と不定根から発生する細い1次および2次側根によって構成される典型的なひげ根型であったが, 不定根の原基が2本1組となって根茎の節付近から同時に発生する点が特徴的であった. また, 成熟した不定根の内部形態においては, 多くの導管が存在する多原型の中心柱と, 空隙を形成する皮層が特徴的であった. さらに, 根茎の中心柱には明確な節構造がなく, 節と中心柱の維管束の連絡関係は疎であり, イネ科植物のような規則性は認められなかった. バショウ属の植物と比べると, 形態学的, 解剖学的特徴は類似するが, 節における不定根原基の組数や不定根の太さ, および中心柱内の維管束数や皮層内の空隙の大きさなどが異なった. 食用カンナにおける不定根の発生様式や組織構造は, 大型地上部を支持するための根系の形成とも密接な関係があると考えられる.