日本作物学会紀事
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日印交雑稲における根系の形成 : 第2報 分枝根の形成(形態)
姜 始龍森田 茂紀原田 二郎山崎 耕宇
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2002 年 71 巻 3 号 p. 368-375

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抄録

日印交雑稲の根系における分枝根形成について,生育段階に着目して検討した. 日印交雑稲2品種(密陽23号と水原258号)および日本型稲2品種(日本晴とコシヒカリ)の合計4品種を大型ポットを用いて土耕栽培した.登熟期に根系を含めた株全体を丁寧に採取し,それぞれの主茎のファイトマー別に冠根と分枝根の数,直径,長さを測定した.また,これらのデータを利用して,それぞれの品種における冠根1本当たりの根量の指標として総分枝根数,総根長,総根表面積および総根体積を,ファイトマー別に推定した.その結果,日印交雑稲の冠根1本当りの根量は,幼穂分化期以降に形成された第9・第11ファイトマーのとくに下位根において日本型稲より大きいことと,これは主に細い3次根の増加によることが明らかとなった.細い3次根が多いメカニズムについて検討したところ,密陽23号は第9ファイトマーと第11ファイトマー,水原258号は第9ファイトマーにおいて,太い2次根が日本型稲より著しく長いこと,また,太い2次根の密度や細い3次根の密度が大きいことが深く係っていることが分かった.以上の結果を総合すると,本研究で用いた日印交雑稲において幼穂分化期以降に形成された冠根1本当りの根量が大きいのは,太い2次根の長さと密度が大きいこと,細い3次根の密度の増加に伴って細い3次根量が大きいためと考えられる.このように,日印交雑稲は細い3次根を日本型稲より多く形成することによって,効率的に根の長さや表面積を拡大していた.

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