日本色彩学会誌
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地方創生のための鹿児島の「黒」を活用した カラーブランディングの検討~鹿児島の黒リストの作成~
牧野 暁世
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2017 年 41 巻 3+ 号 p. 74-76

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抄録

 持続的・自律的な社会を創生するため,地方自治体は色彩を活用した地域ブランディングを行なっている.しかし,色名のみを記述したようなカラーブランディングが各地で行われれば,地域間で同じような色彩が重複して使用され,その固有性を幅広い顧客に十分に伝達できなくなる可能性がある.そこで,地方創生のためのカラーブランディング手法の開発を目的とし,全国各地と同様に地方創生が喫緊の課題のひとつである鹿児島県を対象として検討した. 鹿児島県に対するイメージについての調査結果から,県内の様々な黒資源は,県外の人々へは十分に認知されていないことや「黒」を活用したブランディングの可能性が示唆された.そこで,シンボルカラーを「黒」とし,かごしまPR課の2名とともに,計61品目,6つのカテゴリからなる鹿児島の黒リストを作成した.次に,分光測色計または視感測色のうち,対象の性質に応じてもっとも適切な方法を用い,マンセル値及びL*a*b*値の算出を行った.その結果,色相はR~PBまで幅広く分布しており,多様な色相が示された.今後は,測色調査を継続し,県産品から景観づくりまで汎用性の高い鹿児島の黒パレットの制作を目指す.

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