日本色彩学会誌
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審美歯科修復における光学的シミュレーション解析 -4 シミュレーション結果と実測との比較
天羽 康介若林 一道酒井 英樹木林 博之中村 隆志矢谷 博文
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キーワード: 歯科, 審美, optical analysis
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 19-

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抄録

 近年,歯科治療において患者の口腔内の審美性に対する要求が高まっているが,天然歯に近似した色調,光透過性の再現は,歯科医師や歯科技工士の経験によるところが大きい.そのため,コンピュータシミュレーションを用い,光の振る舞いを定量的に解析することが可能となれば,より審美性の高い歯科治療を行うための多くの知見を得ることができる.これまで我々は,光線追跡シミュレーションに必要な各種歯科材料の光学特性の測定を行った.

 本研究では,実際に歯冠補綴装置(二ケイ酸リチウムガラスセラミックス)と支台築造体(コア用レジン,金属)を製作し,人工太陽灯を照射した際の輝度の測定を行った.そして,照明設計解析ソフトウェア上で実験1と同様の状況を再現し,輝度のシミュレーションを行い,実測と比較した.

 その結果,同一試料内で部位による明度差(ΔL*)が認められ,切縁-中央でΔL*は大きい傾向を示した.シミュレーションの結果,中央,歯頸部では実測よりも低い値となったが,近似した傾向を示した.本研究で行った光線追跡シミュレーションは,歯冠補綴治療における光の現象を解析するために有用であるものと考えられた.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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