日本色彩学会誌
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水蒸気高度利用のための加熱試験装置の開発:高温中での食品色変化モニタリング
棚田 優祐福地 航平伊與田 浩志酒井 英樹
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 34-

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抄録

 食品や農産物の高品質化や新たな用途開発を目的に,高温の水蒸気(過熱水蒸気)を利用した加熱方法に関する研究が行われている.また,すでに調理用スチームオーブンなど食品加工機械として市販もされている.しかし,このようなオーブン庫内の水蒸気量が加熱中の食品に与える影響は明らかにされていない.本研究では,加熱条件を任意に設定でき,加熱中の食品試料の色(分光反射率)を小型分光器と光ファイバーで測定できる装置の開発を行った.試料を加熱するためのテストセクション部は円筒状の縦長で,試料は底部から挿入する.上部からはハロゲン光源により光が照射できる.白色標準には高温中で使用できるウォラストナイト多孔質板を用いた.まず,カラーチェッカー色票24色を用いて常温で本装置による色測定の妥当性を検討した結果,規格値との色差は5未満であった.次に200°C,風速1m/sで加熱中の食品(サツマイモスライス)の分光反射率から色の変化を観察した結果,過熱水蒸気を用いる方がL*値(D65/2度視野)が早い時間で低下をはじめること,a*値(D65/2度視野)は過熱水蒸気を用いる方が赤みを増す傾向があることを示した.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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