日本色彩学会誌
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日本色彩学会第51 回全国大会カラーポッド[京都]’20 発表論文集
色覚の多様性と赤色
市原 恭代坂本 隆
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2020 年 44 巻 3+ 号 p. 40-

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抄録

石原表をパスする多くの人々は,赤色を眩しく,明るく,目立つ,鮮やかな色として認識している.そのため,赤色を同程度の灰色と比較して同じ程度の明るさの色を選ばせるとより明るい灰色が選ばれることが多い.この研究では,多くの人が感じる赤のまぶしさ,鮮やかさ,明るさが,赤の種類によってProtanとDeutanでどの程度暗くなるかを研究した.Protanでは,すべての色に対し明度の差が大きく,赤が暗く見えていた.しかし,少しでも青の成分が加わると,明度の差が小さくなった.Protanにとって「赤」は,青みの加わった「紫」に近い色の方が,実際の明度に近い明るさで感じると考えられる.黄みの場合,黄みが多少加わっただけでは,差が小さくならないことから,「黄」は感じる明度に強くは影響しないと考えられる.DeutanはProtanと比べて,全体的に明度の差が小さいが,青みが加わると,実際の明度により近い明るさで見えることはProtanと共通した結果であった.

結論:1番暗く見える赤は,ProtanとDeutan共にL:81.17,a:28.29,b:14.58であった.

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© 2020 一般社団法人 日本色彩学会
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