低温工学
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特集:大強度陽子加速器施設(J-PARC)
特集「大強度陽子加速器施設(J-PARC)」によせて
土屋 清澄小野 通隆
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2010 年 45 巻 4 号 p. 126

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抄録

日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で2001年から建設を進めてきた大強度陽子加速器施設(Japan Proton Accelerator Research Complex:J-PARC)の第一期工事が2009年に完了し,営業運転を開始しました。この施設は,MW 級の3 GeVおよび30 GeVの大強度陽子ビームを標的に当て,中性子,パイ中間子,反陽子などの2次粒子あるいは,それから発生するミューオンやニュートリノなどの3次粒子を大量に発生させ,これらのビームを用いて原子核・素粒子物理の研究や物質・生命科学の研究を進めるためのもので,21世紀の科学を切り開く最重要の加速器施設と期待されているものです。施設の中には多くの低温・超伝導機器が設置され,今後長期にわたって運転・使用されてゆくもので,低温工学の立場からも非常に興味深い研究施設であるとともに,次なる将来計画にも多くの超伝導機器の導入が考えられています。
編集委員会では,この最先端加速器施設の概要,そこで使われる低温・超伝導機器,さらにはこの加速器施設を利用して行われる超伝導科学の研究などを皆様に広く知っていただくことは意義のあることだと考え,本特集号を企画致しました。この特集号によりJ-PARCが皆様に一層理解され,将来計画で必要となる低温・超伝導機器の開発や中性子ビームを用いた新たな超伝導科学に関心が高まり,それらに積極的に参加される方々が増えることを期待しています。

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© 2010 公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
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