情報技術の急速な発達によって既存の著作物の利用が容易になってきたことから,「他の人の人権を抑圧して著作物を自由に利用したい」という欲望に抗しきれない人々が増え,「著作権」という「人権」は危機に瀕している。著作権システムはある意味で法治国家の「ルール」であり,著作権法の中には既に「土地収用法」に相当する「人権制限規定」も盛り込まれている。このような「人権制限」を拡大するかは主権者たる国民が決定することであるが,「ルールの変更」を考える人々は,まず「何が起こっているのか」「国際的な常識・共通理解は何か」「現在のルールはどのようなものか」といったことをよく理解した上で,自ら「ルールの改正案」を作り,行政に頼らずに直接「権利者の説得」や「国民への提案」を行うべきである。