従来から,図書館員にとり必要な知識は「史料を知ること」,「利用者を知ること」,「資料と利用者を結びつける」ことに要約されてきた。電子メディア社会に突入しつつある現在,とくに「資料を知ること」,いわゆる従来からの史料論は異質なものへ転じつつあるかに見える。一見,サイバースペースに漂う情報の便利さとその操作技能の習得に目を奪われて古くさい資料論など不要のものとなるかの雰囲気もある。しかし電子メディアもメディアに含まれるものである以上,現在の電子メディアを含めて今後の図書館員が知っておくべき対象としての文献メディアの分析は不可欠と考える。これを《著作》の観点からその諸相を分析し,文献メディア論としてまとめたものである。