1997 年 51 巻 p. 66-70
日本とカナダの大学図書館組織は全く異なっている。カナダの大学図書館の図書資料のほとんどは中央図書館ないしは学部毎の図書館にあることに対し,日本の大学図書館では,最も貴重な図書資料は各学部または講座に分散している。このため文献検索をして必要な資料の所蔵先が見つかっても,実際にそれを手に入れることは大変困難である。そういった必要な図書資料の所蔵先の場所をもっと楽に見つけることが出来ることは,特に漢字の読めない留学生あるいは学者にとって非常に必要なことである。
この論文は二つの図書館制度を少し紹介してから,GIS(地理情報システム)によって,どうやって図書館の図書資料に空間的な参照位置が付けられるかについて説明する。日本の大学の図書検索システムにGIS機能を導入すると図書資料の位置が分かり易くなること,そしてカナダの場合大学図書館コンピュータネットワークにGISを導入すれば,市立等の図書館の位置組織が含まれることについても論じる。