抄録
本調査の目的は,長期間のフッ化物洗口実施が唾液中Mutans Streptococciレベルに影響を与えるかどうか,年齢を考慮して検討することである.対象者は,9および11歳児281人である.そのうち161人はフッ化物洗口を経験しており,ほかの120人はフッ化物洗口を経験していない.臨床,唾液検査および質問紙による口腔保健行動調査を実施した.唾液中Mutans streptococciレベルについてはDentocult SM Strip®により測定した.その結果,9歳児では,フッ化物洗口を実施している学童で,唾液中Mutans Streptococciレベルが低かった.ロジスティック回帰分析によると,Dentocult SM Strip®スコアとフッ化物洗口経験には有意な関連が認められた(オッズ比:0.35,p =0.02).しかし,11歳児では有意な関連は認められなかった.本調査結果から,長期間にわたるフッ化物洗口の実施は特に混合歯列期にあたる年齢において,唾液中Mutatis Streptococciレベルに影響を及ぼす可能性が示唆された.