抄録
(財)日本口腔保健協会が実施している職域での歯科保健事業の参加者のうち,40〜59歳男性を対象に口腔内の自覚症状5項目,食生活・喫煙習慣4項目,口腔保健行動4項目について2001年度に調査を行った.ここでは,歯科保健事業の実施効果との関連性を検討するため,同事業への参加状況を多参加群と少参加群とに群別して,さきの調査項目13項目についてX^2検定,ロジスティック回帰分析により分析を行った.この結果,13項目についてX^2検定による個別の分析では,40歳代と50歳代ともに多参加群において,「歯ぐきから血がでる」「口臭があるといわれたことがある」「ほぼ毎日タバコを吸っている」「かかりつけ歯科医がある」「歯磨き回数が3回以上である」「歯間部清掃用具を使用している」「磨き方が適切である」などの11項目で良好な結果が認められた.さらに,ロジスティック回帰分析の結果から「歯の磨き方が適切」「歯間部清掃用具を使用」と強い関連が認められた.本調査研究の対象とした歯科保健事業では,口腔状況に合わせた専門的口腔清掃と口腔清掃指導を主体として行われており,今回多参加群において口腔清掃行動と強く関連が認められたことにより同事業実施による影響が示唆された.