口腔衛生学会雑誌
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原著
う蝕・歯周病診療における細菌検査の有用性の検討
斎藤 俊夫
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2012 年 62 巻 4 号 p. 376-383

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抄録

 当院で2005年6月より2011年8月までに株式会社ビーエムエルに依頼してPorphyromonas gingivalis(以下P. gingivalis)もしくはStreptococcus mutans (以下S. mutans)の検査を行った153症例について,その結果といくつかの項目をデータベース化し,う蝕と歯周病について多元的に検討した.
 その結果,歯周病に関係する因子として,P. gingivalisの有無,プラークの状況,負の因子としてS. mutansの有無などが挙げられた.その中でさらに検討すると,P. gingivalisの有無がプラークの状況以上に歯周病に関係し,P. gingivalisを無くすことが歯周病の治療に不可欠であると思われた.
 さらに,う蝕と歯周病は相反する傾向を示したが,P. gingivalisS. mutansの有無との間に有意な相関はみられなかった.しかし,歯周病の病態はP. gingivalisS. mutansの存在の有無によって影響を受ける可能性が考えられた.
 これらのことから,P. gingivalisS. mutansの両方の細菌検査を行いその有無を調べることが歯周病やう蝕の予防プログラムの構築に有用であることが示唆された.

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© 2012 一般社団法人 口腔衛生学会
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