口腔衛生学会雑誌
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原著
咀嚼力向上を目指した食育支援プログラムの効果に関する研究
木林 美由紀
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2015 年 65 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

 本研究は,咀嚼力向上および育成を目的とした食育支援プログラムを作成し,その有効性について検討した.食育支援プログラムの内容は,開始前に歯科衛生士による保健指導を実施し,液体蒟蒻を応用した噛み応えのある豆乳・おからドーナツ(商品名:「けっこうかみごたえあるドーナツ®,株式会社白帆タンパク製)を1日1個7日間よく噛むことを意識して食べることとした.
 学校長および本人の了解が得られた公立高等学校普通科に在籍する高校生81名を対象とし,開始時と終了時に,直接的咀嚼力としてチューインガムを用いて溶出糖量を測定し,間接的咀嚼力としてデンタルプレスケール®50HタイプRを用いて咬合力表示面積,平均圧,最大圧,咬合力を測定した.自記式質問紙調査票を用いて咀嚼意識および食行動,生活習慣等の調査を実施し,プログラム前後の変化を検討した.
 その結果,開始時の溶出糖量は男子が63.0±6.3%,女子は56.5±7.3%で,終了時は男子が65.7±8.6%,女子は59.2±9.0%と,それぞれ終了時のほうが有意に向上していた.間接的咀嚼力は,男子が平均圧,最大圧,咬合力,女子は咬合力がそれぞれ終了時のほうが有意に上昇していた.さらに,咀嚼行動および咀嚼意識がそれぞれ終了時のほうが有意に向上していた.
 したがって,本研究で実施した食育支援プログラムは,高校生の咀嚼力向上に有効な支援方法であると示唆された.

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© 2015 一般社団法人 口腔衛生学会
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