口腔衛生学会雑誌
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奥羽大学歯学部学生の喫煙状況と喫煙に関する意識調査
瀬川 洋大橋 明石齋藤 高弘
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2015 年 65 巻 3 号 p. 295-299

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抄録

 歯学部学生の喫煙行動を把握して,禁煙支援に活用するとともに,禁煙教育の充実を目的に喫煙状況,心理的ニコチン依存度,タバコ1箱の適正価格および喫煙しているタバコのニコチン量などを調査した.喫煙状況は学年が進むに伴い,禁煙・前喫煙群が増加したが喫煙群は減少した.5年時に実施した禁煙支援教育の講義前後の加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)による効果検証では,講義前のKTSNDの平均得点は各群ともに規準範囲外であったが,講義後の得点は各群とも減少し,非喫煙群は規準範囲内となった.併せて5年時に実施したタバコ1箱の適正価格については禁煙・前喫煙群が1,880円と最も高く,喫煙群は低価格に設定する傾向にあった.同じく5年時に実施した喫煙者のニコチン量は0.2〜0.9mgのタバコが最も多く,その銘柄の多くは世界保健機関タバコ規制枠組条約(FCTC)の11条で規定しているタバコの包装やラベルにライト,マイルドなどの不適切な表現を使用していることからFCTCの11条の遵守とFCTCの周知は急務と考えられる.したがって,喫煙者へのより効果的な禁煙に関わる情報提供を考慮した禁煙支援教育をより一層充実させるとともに全学的視野から禁煙支援の推進に取り組む必要性が示唆された.

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© 2015 一般社団法人 口腔衛生学会
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