口腔衛生学会雑誌
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原著
加齢に伴う歯数の変化の軌跡と生命予後の関連:高齢期に28歯を維持することの意義
岩﨑 正則佐藤 美寿々皆川 久美子安細 敏弘小川 祐司葭原 明弘
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2019 年 69 巻 3 号 p. 131-138

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抄録

 本研究の目的は地域在住高齢者における歯数の加齢に伴う変化の軌跡(加齢変化パターン)を類型化し,生命予後との関連を明らかにすることである.70歳から80歳までの10年間に毎年実施した調査に参加した,ベースライン時点で20歯以上を有する299名(男性154名・女性145名)のデータを用いた.70歳から80歳までの歯数の変化に対して,異なる関数形の軌跡をもつグループに分割することを目的に集団軌跡モデルを適応した.その後,歯数の加齢変化パターンと生命予後の関連を評価することを目的にCox比例ハザードモデルによる生存解析を実施した.追跡期間(70歳から85歳)中の総死亡をアウトカムとし,加齢変化パターンごとのハザード比(HR)を算出した.歯数の加齢変化は3 つ(28歯維持群,中間-減少群,少ない-減少群)に類型化された.生存解析の結果,少ない-減少群と比較して28歯維持群は総死亡リスクが有意に低いことがわかった(adjusted HR=0.50,95% 信頼区間=0.28‒0.89).結論として70歳で20歯以上を有する地域在住高齢者において,その後10年間の歯数の加齢変化は一様でなく,生命予後の観点からはできる限り多くの歯を維持することが重要であり,28歯を維持できれば最も望ましいことが本研究から示唆された.

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© 2019 一般社団法人 口腔衛生学会
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