2020 年 70 巻 4 号 p. 196-203
訪問看護師の口腔アセスメント,歯科相談・紹介による看護・歯科との連携促進のために,訪問看護師の口腔アセスメントの実施状況,口腔アセスメントに関連する因子を調査した.対象は訪問看護事業所勤務の看護師(以下,訪問看護師とする)とし,全国事業所から1,000施設を無作為抽出し,質問紙を郵送法により送付し,訪問看護師に記入を依頼した.206名(男性15名,女性191名,平均年齢47.3±8.5歳)から回答を回収できた(回収率20.6%).80%以上の訪問看護師は高齢期,重度の要介護者,脳血管疾患有病者,経管栄養・人工呼吸器装着者に対し口腔アセスメントを実施していたが,成人期,精神疾患有病者に対する実施率は低かった.口腔アセスメントツールの認識率は20.4%,使用率は5.8%であった.回答者の50%以上は在宅療養者の口腔アセスメントの拒否,口腔アセスメントの知識や口腔アセスメントツールがないことに困っていた.口腔アセスメントの実施は口腔アセスメントツールの認識,使用頻度,歯科医療従事者の相談頻度と有意に関連していた(相関係数:r=0.153–0.361).以上より,訪問看護師の口腔アセスメント,訪問看護・歯科医療従事者の連携を促進のために,口腔アセスメントツールの使用法も含んだ口腔アセスメント教育を充実し,歯科相談・紹介できる環境を作るための歯科医療従事者からの支援が必要であると考えられた.