口腔衛生学会雑誌
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原著
日本における加熱式タバコの使用理由
五十嵐 彩夏相田 潤小坂 健
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2021 年 71 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

 日本で加熱式タバコは急速に普及しているが,使用理由を調べた研究は少ない.本研究は加熱式タバコの使用理由を明らかにすることを目的にした.2017年に日本で20〜69歳の男女5,000人を対象に行われたWeb調査を用いて横断研究を行った.加熱式タバコ使用経験者を分析対象とした(n=309).加熱式タバコの使用理由は10種類で,対象者は各理由について該当の有無を回答した.説明変数を年齢および学歴,目的変数を加熱式タバコ使用理由の該当の有無としたポアソン回帰モデルを用いて年齢および学歴の違いによる各使用理由のPrevalence ratioを算出した.分析対象者は平均年齢40.4歳(SD=12.8),女性29.5%であった.使用理由は多い順に「友人が使っていた」137人(44.3%),「他のタバコよりも害が少ないと思ったから」125人(40.5%),「タバコの煙で他人への迷惑を避けるため」120人(38.8%),「喫煙本数を減らすため」104人(33.7%)であった.ポアソン回帰分析の結果,若者は年配者と比べて「フレイバーに関心があった」「デザインや機能がよかった」等,学歴が高い者は低い者と比べて「仲間とコミュニケーションをとるため」等とした者が有意に多かった.タバコ会社による広告が加熱式タバコの使用理由に影響している可能性が示されたことから,加熱式タバコを含むタバコ製品のタバコ広告の規制について検討する必要があろう.

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© 2021 一般社団法人 口腔衛生学会
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