口腔衛生学会雑誌
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糖尿病外来で活用できる口腔管理支援のための看護ガイド使用後の看護師の認識
工藤 理恵阿部 吉樹柴山 大賀
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2024 年 74 巻 4 号 p. 298-308

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抄録

 本研究は,糖尿病外来で活用できる口腔管理支援のための看護ガイドを,口腔管理に関する患者教育に使用した後の看護師の認識を明らかにすることを目的とした.日本糖尿病療養指導士の資格をもつ看護師6名に半構造化面接を実施し,インタビューから得られたデータは内容分析を行った.

 その結果,次の6つのカテゴリーが抽出された.(1) 口腔管理について学ぶことの重要性に対する気づき,(2) 患者の口腔内の問題の検出,(3) 看護師が口腔管理の実践に関心をもつことの重要性に対する気づき,(4) 口腔管理の実践に対するモチベーションの向上,(5) 口腔管理を実践することの難しさ,(6) 改善が必要な箇所についての指摘.前半の 5 つのカテゴリーはガイドの良い点であり,後半の1つのカテゴリーは改善が必要な点であった.また,参加者は,看護師が口腔管理を実践していくためには看護師に対する支援が必要であると認識していた.看護ガイドは,糖尿病の重症化予防において,口腔管理や外来での患者指導を促進するための重要なツールとなることが期待される.看護師が,看護ガイドを臨床でより使いやすくするためには,より簡単に評価できるアセスメントシートの検討,患者が記入できる口腔内評価表の導入,看護ガイドの看護師の自己学習項目と患者教育用教材の明確化,患者が歯科受診の際に看護ガイドと評価表を持参できるようにするなど,本結果に基づいた修正が必要であると考えられる.

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© 2024 一般社団法人 口腔衛生学会
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