口腔衛生学会雑誌
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乳酸菌飲料とう蝕要因との関連性に関する実験的研究
務台 方彦木村 義夫平木 吉夫梅崎 良則高橋 徳太郎馬田 三夫高添 一郎
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1975 年 25 巻 4 号 p. 294-305

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抄録

1) 20歳から30歳台の男女を被験者とし, 乳酸菌飲料投与後, 飲料中に含まれるLactobacillus casei subsp. casei PSR 3001株の口腔内消長を検討した。
無処理対照群では投与直後供試菌は唾液中に106-7/cc, 歯垢中に103-5/cc見出されたが, 以後急激に減少し, 24時間後には唾液中では102/cc以下となり, 歯垢中には見出されなかった。投与後うがい処理群, 投与前brushing処理群, 高糖分食品の経時的投与群でも, 供試菌の消長は無処理群とほとんど変らなかった。各群においてう蝕の有無は, 供試菌消長のパターンに影響を与えなかった。各群において唾液と歯垢中の供試菌の減少には危険率1%で有意な相関性が認められた。
2) 乳酸菌飲料製造用菌株Lactobacillus casei subsp・casei YIT 9018の菌体外多糖質産生性と糖発酵性をStreptococcus mutans BHTおよびStreptococcus mutans OMZ 176-1を対照として調べた。
Sucrose加Rogosa液体培地で培養した場合, 供試乳酸菌は水溶性, 不溶性多糖類とも産生しなかったが, Str. mutansはいずれをも多量に産生した。またStr. mutansは自己の産生する水溶性多糖類を発酵したが, 供試乳酸菌は発酵しなかった。
供試菌とStr. mutansの混合培養系では, 不溶性dextran合成量は, Str. mutansの単独培養に比較して少なかった。培養中の培地pHを6.0に保って培養した場合にも結果は同様であった。

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