口腔衛生学会雑誌
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ラットを用いたフッ化物による齲蝕予防の実験的研究
本間 敏道
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キーワード: 動物実験, 齲蝕, フッ化物
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35 巻 (1985) 1 号 p. 79-97

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抄録

本来の萌出時期よりも早期に外科的に粘膜切開を行なって出齦させたラットの上顎左側第1臼歯, 及び正常に萌出した上顎左側第1臼歯に, それぞれフッ化物溶液として, APFgelまたは4%フッ化第1スズ溶液, 対照として生理食塩水の局所塗布を行ない, 離乳後30日間, Diet#2000を飼料として与え, 齲蝕の発生状況を比較検討した。局所塗布の翌日から塗布後10日目までの動物について, エナメル質のフッ素量の測定とEPMAによるフッ素, スズの分析を行なった。
結果の概要は, 次のとおりである。
1) 早期出齦歯では, フッ化物溶液の局所塗布により, 裂溝上部 (入口) の齲蝕が抑制され, 同時に崩壊性の高度齲蝕への進行も阻止できたが, 裂溝底部の齲蝕抑制は困難であった。
2) フッ化物溶液を局所塗布した場合, 早期出齦歯は正常萌出歯と比べ, エナメル質内に取り込まれたフッ素の残存量が多く, 経日的にも脱出するフッ素量が少ない傾向にあった。
3) EPMAによる分析の結果から, 早期出齦歯は正常萌出歯と比べ, 裂溝上部 (入口) エナメル質表層におけるフッ素, スズの分布が著明であった。しかし, 裂溝底部においては, 早期出齦歯, 正常萌出歯のいずれもフッ素, スズの分布は少なかった。
以上のことから, 早期に出齦した歯の齲蝕の進行を予防する上で, フッ化物の局所的な応用は, 有効な手段のひとつであることが示唆された。

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