環境化学
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内分泌攪乱化学物質と鳥類の繁殖障害
鎌田 亮森田 昌敏
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2002 年 12 巻 1 号 p. 23-31

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抄録

近年の自然環境保護に対する一般社会の関心の高さにもかかわらず, 野生生物を主眼とした内分泌攪乱化学物質 (EDCs) のリスク評価研究は依然として立ち遅れている。有機塩素化合物による野鳥の繁殖障害はEDCsによる野生生物への影響例として最も代表的なものであり, 最も早期から報告されてきた。野鳥の広範な生息環境・食物連鎖における位置を考えると, 鳥類はEDCsによる自然環境破壊の有無および程度を評価するのに最適な動物種と言えるだろう。発生学的な基礎研究により, 鳥類の生殖器発生や生殖行動のメカニズムが徐々に明らかにされてきた。これらの研究がEDCsの作用メカニズム研究やスクリーニング・リスク評価試験法の開発に有用な知見を与えると期待したい。

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