ダイオキシン対策を考え, その効果を把握し, ダイオキシン類の環境動態を検討するためには過去からのダイオキシン類の蓄積状態や発生源の変遷を知ることは重要である。本研究では, 琵琶湖および大阪湾で採取した底質コアを用いてダイオキシン類の歴史トレンド解析を行った。
その結果, 琵琶底質では19世紀半ばの底質層にダイオキシン類の存在が認められ, その後, 20世紀後半に濃度が大きく増加している。そして, 1980年前後に観察されたピークから現在は若干の減少あるいは横這いの傾向が続いていることが示された。異性体や同族体の変化や主成分分析から底質ダイオキシン類の主要な汚染源は燃焼由来のPCDDs/DFsに加え, 除草剤CNPやPCP中に含まれていたPCDDs/DFsの影響があると考えられた。