2018 年 25 巻 2 号 p. 4-7
はじめに:小児上腕骨顆上骨折の観血的整復術に関して明確な治療方針は存在しない.当施設で加療した小児上腕骨顆上骨折の観血的整復術について後ろ向きに検討した.
対象と結果:2013年4月から2017年10月まで当院で手術加療を行った小児上腕骨顆上骨折33例中,観血的整復術を行った15例を対象とした.骨折型,骨折の転位方向,平均手術時間,術前の神経血管損傷の有無,術中の介在物の有無,術後単純X線評価,合併症について検討した.15例のうち,神経血管損傷を認めた症例は4例.上腕筋,骨膜の陥入を認めた症例は7例であった,内反肘,外反肘などの合併症は認めなかった.
考察:小児上腕骨顆上骨折の観血的治療法に関して明確な基準が設けられておらず,一致した見解がない.今回の症例を通して整復阻害因子を解除できること,直視下に解剖学的整復位を得ることが観血的整復術の利点である.