生態心理学研究
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特集 日本生態心理学会第1回大会 発表論文
写真表現の制作過程における視覚的選択─(1)写真表現の教育の場での実践─
堀口 裕美
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2004 年 1 巻 1 号 p. 111-120

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抄録

 写真表現の制作過程における選択についての分析をとおして,表現の成立を視覚的発達過程のなかで起こることとして論じる武蔵野美術大学映像学科の写真作品の制作に関する授業で,写真作品が学生によってどのように制作されるかを参加観察した.本稿では,この授業を担当したプロの写真家と学生とのやりとりの記録を元に,その過程を記述・分析した.その結果,撮ることと見ることのなかで繰り返される視覚的選択によって写真的な単位が発見されることが,制作の持続を促していることがわかった.作品は,そのような知覚と行為のシステムが発達していく過程のなかのひとつの到達点として成立しうるものであることが示唆された.さらに,光学的配列のなかの不変項を画面に保存することが,写真による表現を成立させるひとつの要件として探られていることが明らかになった.

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© 2004 日本生態心理学会
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