日本中央競馬会競走馬保健研究所報告
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Strongylus vulgaris 子虫の体内移行に原因する子馬の疾病の発生および病理
須藤 三重子佐伯 百合夫石谷 類造乾 純夫成田 実浜崎 裕横田 禎
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1976 年 1976 巻 13 号 p. 60-78

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抄録

 1969年,北海道日高地方において,発熱・疝痛・激しい下痢を主徴とし,しばしぼ致死的に経過した“いわゆる幼駒の下痢症”と称される疾病が多数発生した。その後,本疾病は1969年より1971年をピークとして現在もなお発生が続いている。それらのうち44例の死亡した子馬について,発生状況の観察と病理組織学的検索を実施し,下記の結果を得た。本病の発生は毎年,3月に始まり11月には終わっている。発症より死亡までの日数は,3日以内のものが死亡した44例中の60%を占め,平均日数は6.2日であった。病理組織学的には,前腸間膜動脈およびそれに関連のある血管に,内膜における糸状隆起線,血栓性動脈内膜炎,汎動脈炎や動脈瘤が見られた。その他の著明な変化としては,寄生虫性肉芽腫,塞栓による出血性壊死性腸炎,および瀰漫性好酸球浸潤が認められた。これらの病変はすべて普通円虫子虫の体内移行により生じたもので,死の原因となったものである。馬の本病の発生については,日本では僅かな報告しかない。この論文では本病の発生状況と病理組織についての若干の考察を行なった。

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