2023 年 19 巻 p. 14-22
インドネシアの伝統的発酵食品は保存性と特徴的な風味を持つだけでなく、多様性に富むことが知られている。近年、食品の大量生産と冷蔵輸送の発展や輸入の増加によって、インドネシアにおいても食文化は次第に変化している。そこで、次世代の食文化を担う若年層において、伝統的発酵食品がどのように認識され、購買されているのかを知るため、アンケート調査を行った。10–20代の男性37人、女性88人計125人を対象とした調査の結果、テンペのみが身近で、かつ最も購買頻度の高い発酵食品であった。発酵調味料は購買頻度が高いものの、代表的な発酵食品として挙げられることが少ないものも認められた。一方で、インドネシアの伝統食品ではないヨーグルトが若年層にとっては身近な発酵食品であり、購入頻度も高くなっていた。発酵食品の購買行動と単身世帯や家族世帯などの生活様式、民族、出身地に明らかな関連性は認められなかった。