林業経済研究
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バングラデシュにおける製材産業と原木調達システムに関する研究 : ダッカ地域シュトラプール地区製材業の事例分析(1996年秋季大会自由論題論文)
ナラヤン サバ川田 勲古川 泰
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1997 年 43 巻 2 号 p. 83-88

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抄録
バングラデシュの製材産業は木材関連産業の中では民間企業を中心とした最大の産業である。製材需要は農村部では住宅建築などの直需に対応した小規模なものであり,多くは都市部に集中している。製材工場も注文生産を軸にして製材需要に対応して全国的に立地しているが,需要構造から都市部に集中している。とりわけ国内最大の都市であるダッカ地域は主要な製材産地であり,なかでもシュトラプール地区は最も製材工場数が多い。この地区の製材業者は木材供給業者を金融支配下において,広域から集荷し,地域内需要に対応しつつ,近隣地域にも製品の出荷を行っている。製材業者は素材販売業も兼業しており,大規模層を除けば製材量に大きな差はなく,素材販売量が事業規模を規定している。また,地区内の木材業者に土場を提供し彼らの原木の賃挽も行っている。製材業者は階層性を内包しつつも木材の生産流通構造の中で中核的な位置を占めている。製材産業の最大の問題は原料問題であり,国内の森林資源が枯渇する中で原料の慢性的不足に陥っており,製材用原木の輸入も開始され,原料基盤も大きな転換期を迎えている。
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© 1997 林業経済学会
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