林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
集団所有林における異なる森林政策による農家への影響と課題
中国・湖南省隆回県雨山鎮における事例研究
袁 テイテイ百村 帝彦
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2016 年 62 巻 3 号 p. 59-67

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抄録

中国では,1950年代に土地所有権を国家と集団に限定する社会主義公有制が完成し,集団所有林制度が確立された。しかし林権(1)が明確でないなどの課題があり,集団所有林の使用権と林木の所有権を明確にする集団林権制度改革などが実施された。集団所有林に対しては,これら一連の権利確定政策に加え,個別の森林政策が重複して実施されることがあったが,それぞれの影響や相互の関係性に焦点を当てた事例研究は非常に限られている。本研究は,集団所有林の権利確定政策を含めた諸政策が実施された湖南省隆回県雨山鎮の3村落を対象に,これら政策実施による林業経営の実態や農家への影響を明らかにすることを目的とした。対象村では,生態公益林に指定されたために林権証が村民小組に移譲されたが,その事実を農家は認識をしておらず,集団所有林が利用規制のある生態公益林に設定さていたことも知らされていなかった。森林政策の運用には,地方行政,村の幹部,農家と3つのアクターが関与しているが,地方行政は村の幹部に大きく依存した形で政策を運用していた。農家への不利益を防ぐためにも,末端農家に情報が伝達する形で政策を実施されることが望ましい。

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© 2016 林業経済学会
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