日本女性骨盤底医学会誌
Online ISSN : 2434-8996
Print ISSN : 2187-5669
腟切開を行わない腟式膀胱瘤整復術
辻 芳之カロンゴス ジャンニーナ伊藤 善啓久保田 陽子半田 雅文伊田 昌功
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2021 年 17 巻 1 号 p. 6-13

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抄録

【緒言】高齢化のため女性骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse POP)が急速に増加している。外科的治療でこの患者増加に対応するためにはできうる限り簡便で、低侵襲、低再発率、低合併症の術式が求められる。しかし現在行われているNative Tissue Repair(NTR)は再発率が高く、Tension Free Vaginal Mesh(TVM)はメッシュ関連合併症があり、Laparoscopic Sacro Colpopexy(LSC)は高費用など、いずれも完全に満足できるものではない。そこで、従来のPOP 手術よりも簡便で、低侵襲、低再発率、低合併症の術式の開発を試みた。

【方法】ポリプロピレンモノフィラメント縫合糸を, 腟壁の切開を行わず腟粘膜から直接恥骨頸部筋膜に縫込み、両側腟入口部外縁の球海綿体筋膜から,腟前壁、両側仙骨子宮靭帯間にポリプロピレン糸のネット構造を作り出し、それで膀胱瘤を前腟壁とともにハンモック状に吊り上げ膀胱瘤を整復する。

【成績】36 例の膀胱瘤症例に適用し1 例のみ軽度の再発を見たがそれ以外すべて順調に膀胱瘤の整復ができた。合併症発生は1 例も見られず満足な結果が得られた。

【考察】今回報告した経腟膀胱瘤整復術法は簡便で安全な術式でありながら再発率が低くまた費用も安く今後広く行われて良い術式である。

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