マイクロサテライト(SSR)は、真核生物のゲノム中に多数散在しており、しかも多型性がきわめて高い部位である。そのため、個体群生態学および分子育種学の分野で極めて有効なDNAマーカーとして広く利用されている。本研究の結果は、SSRマーカーの中には、一個体内で多型を示すほど変異性が高いものも存在することを示しており、SSRマーカーの安易な利用に赤信号を灯すものである。今後、SSRマーカーを用いて個体識別や親子判定等の分子生態学的解析を行う場合、それぞれのマーカーの変異性を十分チェックする必要があろう。