抄録
関東育種基本区において、ヒノキ精英樹の半兄弟家系を用いて設定された次代検定林11箇所の個体値を用いて、成長形質の遺伝パラメーターについて検討した。対象とした形質は、20年次の樹高と胸高直径である。同一育種区の検定林を2箇所ずつペアにした分散分析を行い推定された遺伝率の平均値は、樹高、胸高直径とも0.10程度、TypeB相関係数の平均値は、樹高が0.32、胸高直径が0.37となった。育種区間で比較した場合でも大きな違いは認められなかった。これらの結果は、育種区内において、検定林と家系の交互作用が無視できない大きさで、家系間差についてもスギ等の他の樹種に比べ小さいことを示している。そのため、20年次の家系評価を行うに当っては、育種区単位での評価に併せ、育種区よりも小さい地域区分、例えば県単位での評価も併せて行うことを検討する必要がある。また、今後、蓄積されつつある30年次のデータを用いてさらに検討する必要がある。