抄録
関西育種基本区内の瀬戸内海育種区に設定されたスギさし木次代検定林における15年次調査のデータを用い,各クローンの評価値(BLUP値)を、2つのモデル(単形質モデルと多形質モデル)で求め比較を行った。各モデルで求められたBLUP値の相関、順位相関はともにモデルによる違いは少なかった。系統の順位付けの点ではモデルによる違いは少ないと考えられる。多形質モデルが単形質モデルに比べ、系統の分散成分の大きさ、正確度ともに値が大きかった。正確度は真の値と予測値の相関を示し、相関が高いほどその予測値が優れていることをしめすこと。系統分散の大きいことは系統間の違いをよく反映していると考えられることなどからBLUP法において多形質モデルを使用することで系統評価の更なる精度の向上が望めると考えられた。