抄録
暗色枝枯病菌を接種したスギ苗木の材変色の進展を中性子ラジオグラフィで追跡した。接種3, 7, 13, 22日後に苗木に熱中性子線を照射した。X線フィルム像を得たが、菌接種によって形成された変色部や周辺の乾燥帯は黒色部として検出され、水分が少ない部分であることを示している。乾燥帯は材色にほとんど変化がない接種3日後には検出された。乾燥した部位の大きさが接種菌株間で異なることが中性子像で示された。本実験で使用した中性子線は培地上での暗色枝枯病菌の伸長に影響せず、本法は樹病における非破壊検査として有用と考えられた。