日本林学会大会発表データベース
第114回 日本林学会大会
セッションID: P1181
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防災I
樹液流測定を用いた熱帯雨林樹冠の降雨後の乾き時間に関する解析
*久米 朋宣蔵治 光一郎吉藤 奈津子諸岡 利幸鈴木 雅一
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抄録
降雨後に濡れた樹冠面が乾ききるまでの時間とは,遮断蒸発と蒸散という水循環の重要な構成要素がともに生起する遷移期間である.特に,湿潤熱帯域の降雨は温帯域の降雨と比較して,1イベントの降雨時間が短く,イベント回数が多いという特徴があるため,遮断蒸発と蒸散の遷移期間の回数が多くなると考えられる.ゆえに降雨後に樹冠が乾くまでの時間,その時間を決める要因を明らかにすることは,熱帯雨林の蒸発散量を推定するうえで有益な情報となる. ここで,樹冠の付着水分は,気孔を閉鎖させ,また気孔のガス交換を阻害するので蒸散量を減少させる.樹冠が濡れている期間には樹液流が生じないことが確認されているので,樹液流測定は樹冠の濡れ具合についても情報を与えるものと思われる. 本研究では,混交フタバガキ林の主用樹種の1つで樹液流測定を行い,樹液流測定値を用いて濡れた樹冠面が乾ききるまでの時間(Canopy Drying Time: CDT)を推定した.またこのCDTを決める要因について考察を加えた. その結果,CDTの推定値は,降雨終了時刻が午前の場合と午後の場合とで,値のとる範囲及びばらつきが異なった.降雨終了時刻が午前の場合は,CDTが65-414分,午後の場合は39-103分となった. これらのCDTの値の取る範囲の違い,ばらつきの要因について,降雨後の蒸発強度(日射と大気飽差),降雨特性,降雨の日周変動に着目して検討した. 
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© 2003 日本林学会
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