抄録
暖温帯のスギ・ヒノキ人工林流域で、気象観測タワーによる熱収支観測と、流域水収支の観測を行っている。最もインテンシブな観測が行われてきた小流域では、既に水収支と気象観測との整合性が示されている。しかし、その流域と隣接する小流域では、2000年の水流出量に20%以上の差が生じることが判明した。隣接した小流域で乱流変動法を適用した結果、流出量の相違には夏季の蒸散量の差異が影響している可能性が示唆された。今後の展開として、他の季節のデータも精査するとともに、熱収支インバランスに関する検討を行っていく必要があることが明らかになった。