抄録
演者らは、ヒノキ根株腐朽病を起こすキンイロアナタケの侵入口を明らかにすることを目的として、伐根の掘り取り調査を行い、本菌の侵入口の種類、発生頻度、形成位置を明らかにした。その結果、侵入口の種類には、地表近くに認められた林内作業車による傷、地表下24cm以下で見られた根切虫の食害による傷、地表下25cmから30cmで認められた主根と側根の接触による傷、地表下30cmから40cmで見られた石レキの傷、地表下40cmから48cmで認められた細根の根腐れ部があった。これらの侵入口の中で根切虫の食害による傷の割合は55.8%、林内作業車による傷の割合は16.3%で、これらの傷は全体の72.1%を占めた。