日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: P5103
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防災
多雪地帯森林小流域における土壌水分の季節変動について
*細田 育広村上 亘
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抄録
釜淵森林理水試験地1号沢(約3ha, 標高160-250m)において、Time Domain Reflectometry(TDR)による土壌水分の通年観測を実施した。釜淵森林理水試験地は、山形県最上郡の出羽山地に位置し、例年1-3月は1m以上の積雪で地表が覆われる。土壌水分の測定には、Moisture Point (MP-917、Environmental Sensors Inc.) を用いた。深さ15cmごとの平均的な体積含水率(含水率)が計測できるセンサープローブを、1号沢量水堰堤近傍の右岸斜面に一カ所設置し、自動車用バッテリー電源による通年観測を行った。観測位置は斜面下部の傾斜地にあり、土壌の厚さは60cmであった。2002年11月-2003年10月における観測の結果、初雪直後の11月1日以降、根雪となってから0-30cm深(表層)の含水率は増加した。その後融雪最盛期までは表層の含水率は高めに維持されたが、30-45cm深の含水率はわずかに低減傾向を示した。融雪後期から消雪するまでに表層の含水率は大きく減少し、30-45cm深の含水率は逆に増加傾向を示した。消雪後の含水率は、梅雨期にまとまった降雨があるまでいずれの深さでも減少し続けた。梅雨入り後は、いずれの深さでも降雨に応じた湿潤と乾燥を繰り返した。通年の土壌水分変動を概観すると、降雨による土壌水分の増加が全層で生じているのに比べ、積雪下の土壌水分の増加は表層を中心に生じていることがわかった。
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© 2004 日本林学会
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