【目的】間伐遅れで放置された人工林では、蒸発散に使われる水の保水力が増加し、流出する水の保水力が減少することにより、洪水緩和・渇水緩和機能が低下すると言われる。このような森林を間伐することで両機能の回復が見込める可能性があるが、流域スケールで定量的に検証した例は少ない。本研究では小流域スケールの間伐が流出量に及ぼす影響を対照流域法により検出することを目的とした。【方法】生態水文学研究所犬山研究林に設けたA1,A3流域(面積6.5、2.5ha)を対象として2004年から処理前の観測を行い、2007年にA1で本数27%、2010~11年にA3で本数56%の小流域スケールの間伐を行った。伐倒木は搬出せずに枝払い、玉切りをして等高線に沿って並べた。出水時の直接流出量や平水時流出量について間伐前後を比較した。A3内には表面流プロットを設けて本数50%間伐前と後で表面流を観測した。【結果】A1を間伐した後、特に大きな雨に対する直接流出量が減少した。伐倒木を等高線に沿って並べたことが表面流を抑制し、蒸発散量の減少を補って余りある一時貯留効果を発揮した可能性がある。