日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: O21
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森林生態系の放射能汚染の実態解明に向けて
福島原発事故後2年目における捕食性節足動物への放射性物質の移行-ジョロウグモ(Nephila clavata)の事例
*綾部 慈子金指 努肘井 直樹竹中 千里
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抄録

2011年3月の福島第一原子力発電所爆発事故により放出され、その後森林地域に降下した放射性物質の食物連鎖を通じての濃縮・拡散過程を明らかにするため、林内、林縁部に生息する捕食性節足動物の造網性クモを対象として、その虫体に含まれる放射性セシウムの濃度を測定した。調査は2012年10月下旬に、発電所から北西30~35 kmにある福島県伊達郡川俣町内の渓流沿いおよび高台の二次林と、西65 kmの郡山市にある福島県林業試験場構内において行なった。地表から1~2 m高の網上のジョロウグモを採集し、持ち帰って個体湿重を測定した。各採集地では、地上高1 mの空間線量も併せて測定した。クモ個体は乾燥重量測定後に粉砕し、高純度ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーにより1.6万~35万秒測定し、Cs-137, 134の個体重当たり濃度を算出した。その結果、30 km地点の渓流沿いで採集されたクモのCs-137濃度は2000~6800 [Bq/kg d.wt]、35 km地点の高台の二次林では820~2300であったが、郡山市の大部分の個体からは不検出であった。

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© 2013 日本森林学会
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