日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: P2-050
会議情報

樹病
電気インパルスがクロマツの苗木及びマツノザイセンチュウの生残に与える影響
*恒川 佳世松永 孝治梶村 恒
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 電気インパルス(人工的に発生させた静電気による衝撃) は、殺菌効果と植物の生理活性向上効果が示唆されており、樹木病害の防除に有用なツールになる可能性がある。実際に、マツ枯れ用の市販品もあるが、その裏付けとなる基礎データの十分な蓄積が必要である。そこで本研究では、マツノザイセンチュウ(以下、線虫)とクロマツ苗木に様々な電気印加を行い、その影響を検証した。
まず、シャーレ中の線虫(Sc9)懸濁液(5万頭/ml)に電気印加(4、9万Vと1、5分)を行い、その生死を確認した。また、2年生の感受性苗(佐伯署3)と抵抗性苗(三崎90、小浜30)を用意し、①電気印加(9万V、1分)区、②線虫接種区、③電気印加後線虫接種区、④線虫接種後電気印加区、⑤対照区を設け、蒸散量、樹脂滲出状況、針葉変色度を、7月下旬から2ヶ月間毎週記録した。その後、通水域の染色と観察、線虫の再分離と計数を行った。
その結果、4万V、1分でも線虫が死亡したが、樹体内での殺虫効果はなかった。また、①の蒸散量は低下しなかったが、③と④では②よりも衰弱と枯死が進行した。この傾向は感受性苗で顕著だった。今後、条件を変えた追試が必要である。

著者関連情報
© 2013 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top