日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: I01
会議情報

防災
観測タワーの水蒸気フラックスは林分スケールの蒸発散と比較可能か?-複雑地形地スギ林分を対象にした観測より-
*清水 貴範熊谷 朝臣清水 晃小林 政広玉井 幸治井川 怜欧立石 麻紀子宮沢 良行飯田 真一壁谷 直記
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】乱流変動法は、森林と大気の間の水蒸気交換量を推定する際に有効な観測方法である。ただし、この方法は平坦一様な場所での適用を前提にしており、複雑地形地の一方位を占める林分を対象とした蒸発散量推定への適用に関して、検討した例は少ない。そこで本研究では、スギ林分で測定した蒸散量と遮断蒸発量の和を基準値として、乱流変動法とそれに基づく補完値との比較を行い、その精度を検証した。【方法】熊本県山鹿市の鹿北流域試験地(33°08’ N, 130°43’ E)で、クローズドパス機器による乱流変動法を用いた観測から、スギ林分が中心となる右岸側からの水蒸気フラックス値を選別し、欠測値をMI法で補完した。また、スギ林分3プロットでグラニエ法による樹液流速測定を行い、上層木の蒸散量を算出した。さらに隣接する小流域のスギ林分で遮断蒸発量を測定した。【結果】2007年4月~2008年3月の期間で、乱流変動法とその補完による右岸側の蒸発散量は、スギ林分の蒸散量と遮断蒸発量の和に対して約10%小さかった。また、蒸散が生じうる時間帯では、両者の差は1%程度となり、複雑地形地でも、乱流変動法に基づく林分蒸発散量の推定は可能であると判明した。

著者関連情報
© 2014 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top